精神


spirit

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作成日 2002/6/1

「一般的には物質・肉体に対立するものとしての心と同意味に用いられるが、とくに心的能力の高次なもの、すなわち科学や芸術などをつくる働きについていわれる。 物質にたいする精神の働きを絶対化してとらえると、世界をなりたたせるのは精神だとされて、一方では客観的観念論、 他方では主観的観念論の主張となる。哲学史上ではこれを説くのに種々なニュアンスがあるが、たとえば古代のアリストテレスは精神を抽象的思考の働きと解し、プロティノスは超理性的な知的直観でとらえられる原理、すなわち神と同一視した。 ドイツ古典哲学は精神を自己意識の活動というかたちでとらえ、とくにヘーゲルの世界観では、根源的精神から自然への外化をへて、ふたたび根源にかえる過程として、精神の運動をみた。 17〜18世紀の唯物論者たちは主として、精神をただ感覚から生ずる知識という見方をしたが、マルクス主義唯物論は、精神を物質からはなれた別個の存在とはみず、その発生を物質の変化・発展から生じた意識の成立によって人間の歴史的-社会的実践を通して発展するものとみ、したがって精神の内容は客観的物質的存在からえられる。 しかし精神がいったん出現してくれば、これはこれで客観的物質的存在へ作用しかえす働きをする。このことが、歴史的-社会的実践をもよびおこし、これによって精神が発展する根拠ともなる。こうした基盤から引きはなして<時代精神><民族精神>といわれるような超個人的で、現象としてあらわれるものにたいする本質として精神が主張されることもあるが、 これは精神を形而上学的に実体化するもので、観念論の見解に属する。」

哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より




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