プラグマティズム


pragmatism

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作成日 2002/6/1

「pragmatism 実用主義ともいわれる。プラグマはギリシア語の pragma=なされた事柄または行動 を意味する。それは、19世紀末から20世紀はじめにかけて、従来の形而上学的・思弁的哲学に反対してアメリカに形成され、これと共通した主張は、時をおなじくしてヨーロッパにもあらわれた。アメリカでのその創説者はパースであり、ついでジェームズによって普及され、さらにデューイが新解釈をあたえてきた。イギリスではF.C.S.シラーがそれを代表している。かれらの主張にはそれぞれ多少のちがいがあるが、共通点とみられるのは、まず第一に真理を実践上の有効さできめること(パース)であり、実践的結果とくらべて理論の真偽の判定をする哲学的論議の解決法とし、真理とは、われわれをみちびく仕方で、もっともよい働きをするものであり、生活のどの部分にも、もっともよく適応するもののことだ、などといわれる(ジェームズ)。また観念を行為の道具とみたてたり(デューイ)、認識とは主観的真理の総和だとしたり(シラー)する。この場合に、さかんに説かれる実践と真理との関係では、実践上の有効さが客観的真理を検証するというのではなくて、個々人の主観的利益に役だつという見方である。このような主観的観念論は、プラグマティストの共通にもっているものである。この立場では、真実在とは<経験>と同一のものであり、これが<純粋経験>の名で説かれる。 認識における主観と客観とは、この経験の内部での対立にすぎないのである。論理学の法則と形式とは、それによれば、有用な擬制(fiction)であって、なんら客観的なものではないと説明する。倫理・社会にかんする見方では社会改良論(meliorism)にたつが、また、立ちまさった個人の尊重に力を入れたり(ジェームズ)、ブルジョア民主主義の弁護を強調したり、さらには人種主義・ファシズムを公然と擁護したり(シラー)している。現在ではシドニー・フック(Sidney Hook, 1902〜 )のような反マルクス主義・反共産主義のチャンピオンもでている。プラグマティズムは、アメリカで20世紀はじめいらい、精神生活を支配してきた有力な哲学であったが、いまでは新実証主義や意味論や操作主義などにむすびつけられて、これらに席をゆずったかたちになっている。わが国では、戦後、アメリカの支配のつづくなかで、プラグマティズムおよび、これにつながる現代思想が、学説のうえでも、実生活のなかにも、つよい影響をあたえている。」
                            
哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より




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