ベーコン


Bacon

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作成日 2002/6/1

「Bacon,Francis 1561〜1626 イギリスの哲学者, ルネサンス期の代表的人物。政治家としてもイギリス国王の大法官の地位にあったが、のち失脚した。彼の哲学は、イギリスの本源的蓄積の時代にあたって、新しい知識をもとめる要求に対応したものであった。それは、経験論による唯物論的見地と帰納法と経験的科学とを、新しく唱えたところにあらわれている。かれは、学問の目的が自然にたいする人間の支配力を増大させるところにあり、それには事物の真の原因を明らかにする必要があり、したがってスコラ学のようにドグマにとらわれて思弁のうちで 概念を練りあげるのは誤りであるし、また任意の経験から結論をひきだす経験主義も役にたたないとする。そこから科学に役だつ実験にもとづく帰納法を明確にすることがもとめられ、それとともに従来の先入見をとりのぞくべきことを主張して、イドラ説をしめした。かれが近代哲学の先頭にたつ哲学者として評価されるのは、唯物論の伝統を復活させ、古代ギリシアの唯物論を高く評価して観念論の誤りを指摘しながら、自然の唯物論的概念をしめして、物質が諸分子の結合からなり、その結合の多様さから自然の多様なことが生じるとし、また物質は運動をその本質とするとみるとともに、 運動をたんに機械的なものに限定しなかったなどの点である。しかし、かれの見解にも時代的制約がまつわっており、過去の神学的残物がまじっていて、その点でその唯物論は整合的だとはいえない。かれは、その社会観を《Nova Atlantis》(1627)でユートピア的にえがきだし、そこでは科学と技術にもとづく豊かな社会が展開されるとしたが、支配と被支配の人間が存在することを否定してはいない。」

哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より




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